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無細胞タンパク質合成
テクニカルインフォメーション

無細胞くんN Mini
「タンパク質合成操作」

無細胞くんN 100
「タンパク質合成操作」

無細胞くんN 1000
「タンパク質合成操作」

<鋳型について>

  • Q1:プラスミド鋳型配列の設計方法は?

  • Q2:プラスミド鋳型の調製方法は?

  • Q3:リニア鋳型配列の設計方法は?

  • Q4:PCR産物鋳型からのタンパク質合成の注意点は?

A1:
 T7プロモーター、SD配列、(N末タグ配列)、目的タンパク質の遺伝子、T7ターミネーターで構成される、一般的なT7プロモーター制御下でタンパク質を発現するプラスミドDNAがお使いいただけます。キットに付属するコントロール用プラスミドpUC-CATを用いて、CAT遺伝子部分を適当な(N末端タグ配列+)目的タンパク質の遺伝子で入れ替えることでも調製できます。
 合成するタンパク質のN末端の配列が合成量に大きく影響します。発現量が高くなるようなN末端タグ配列(Ref.)を付加することをお勧めします。ただし、N末端がHis x 6タグである場合には合成量が著しく低下することが多いので、それ以外の配列に変更することをお勧めします。

A2:
 市販のプラスミド精製キットで精製後、(1)PCR産物精製キットもしくは、(2)フェノール・クロロホルム抽出+エタノール沈殿で追加精製することをお勧めします。加えて、アガロース電気泳動でプラスミドの純度とおよその濃度を確認しておくこともお勧めします。

 市販のプラスミド精製キットで精製したプラスミドには、溶菌時に使用したRNaseAが最終精製プラスミド溶液中にしばしば残留します。これをそのまま使用するとRNaseAが無細胞タンパク質合成系を失活させてしまい、まったくタンパク質が合成できなくなることがあります。同じプラスミド精製キットを使用しても、細かな作業手順の違いによりRNaseA残留量は大きく変化することがあります。安定したタンパク質合成のためには、RNaseAを確実に除去するための追加精製実施を強くおすすめします。追加精製は、フェノールクロロホルム抽出+エタノール沈殿が最も確実ですが、市販のPCR産物精製キット(DNA Clean & Concentrator-5, ZymoResearch社等のグラスファイバーフィルターでDNAを吸着させて溶出するタイプ)も利用可能です。
 なお、NucleoBond® Xtra Midi(Takara/マッハライ・ナーゲル)で精製したプラスミドが追加精製なしにタンパク質合成に使用できた経験がございます。
 プラスミド精製標品の濃度をUV(A260)吸光法で見積もった場合、溶液中の不純物(ゲノムDNAや低分子の混入)による吸光のためにプラスミド濃度を過大評価してしまうことがあります。その定量値が妥当であるか、および、プラスミドの質をアガロース電気泳動で確認しておくことをお勧めします。

NucleoBondはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です

A3:
 無細胞くん用のプラスミド発現鋳型のT7プロモーターからT7ターミネーターまでの配列に、T7プロモーターの上流およびT7ターミネーターの下流に数十bp以上を追加したリニア二重鎖DNAを設計してください。PCRを用いた鋳型の設計調製例としてはRef.をお勧めできます。

 無細胞くんの反応液には若干のExonuclease活性があります。T7プロモーター上流、T7ターミネーター下流に余分な配列を付加することで、リニア鋳型DNAのExonuclease耐性があがりタンパク質合成が安定します。

A4:
 PCR産物を鋳型とする場合、通常、PCR後の反応液を精製することなくそのまま無細胞くん用の鋳型DNAサンプルとして使用することができます。PCR反応液(100 ~300 ng/µL)を合成反応液量の1/10量程度、終濃度として(10~30 ng/µL)程度を目安に合成反応液に加えてください。
 リニア鋳型を合成反応液に加えたならば、直ちに合成反応を開始してください。鋳型混合から合成反応開始までの放置時間が長くなると、鋳型が分解されてタンパク質合成量が低下することがあります。


<合成産物について>

  • Q5:合成産物からのタンパク質精製の注意点は?

  • Q6:発現確認のためのSDS-PAGEサンプルの調製の注意点は?

A5:
 合成反応液を一旦on iceで5分冷却して十分に沈殿を析出させてから、遠心、上清を採取し利用ください。タンパク質のアフィニティ精製を実施する場合、反応液を適当なバッファーで5倍以上に希釈してからアフィニティレジンにアプライしてください。

 合成後の反応液には無機リン酸塩が含まれており、反応液をそのままカラムにアプライとカラムを詰まらせる原因となります。合成後の反応液をしばらく冷却することで無機リン酸塩を析出させて、遠心分離で除去することができます。
 反応液にはアミノ酸等のアミン性物質が多く含まれていますので、Hisアフィニティ精製を阻害して目的タンパク質がレジンに吸着しなくなることがあります。合成後の反応液を適当な精製用バッファーで希釈してアミン性物質の濃度を下げてからアプライすることで、Hisアフィニティ精製が可能となります。

A6:
 無細胞くんQuick, SI, SI SS, Startキットの反応液にはPEGが含まれており、そのまま泳動サンプルを調製するとSDS-PAGEの低分子領域の泳動像を歪めます。反応液をアセトン沈殿処理(手順はキット説明書に記載)にかけてPEGを除去してからSDS-PAGE用サンプルを調製してください。無細胞くんSI(PEG不含), SI SS(PEG不含)キットの反応液にはPEGが含まれないので、そのまま泳動サンプルを調製できます


<トラブルシューティング>

  • Q7:タンパク質が発現しない、発現量が少ない。改善法は?

A7:(1)無細胞くんQuickの場合

考えられる要因 推奨する対策
キット性能の低下 (1)製品ラベルに記載の使用期限内であることをご確認ください。
(2)適正な温度で保管されていたかご確認ください。
(3)使用期限内で適正に保管されていた場合は、弊社までお問い合わせください。
テンプレートDNAが不適切 テンプレートDNAの配列が適切かご確認ください。濃度が適切かをアガロースゲル電気泳動でご確認ください。市販のプラスミド精製キット等で調製したプラスミドDNAを用いる場合、プラスミドDNA精製標品に残留するヌクレアーゼの影響でタンパク質再現量が低下したり、まったく再現しないことがあります。この場合プラスミドDNAの再精製により改善することがあります。フェノール・クロロホルム抽出、エタノール沈殿による再精製処理を実施してください。
タンパク質の性質による問題 タンパク質によっては反応中に容易に分解や沈殿してしまう傾向のものがあります。
可溶性を向上させるタグ配列の挿入で可溶性が向上する場合があります。発現領域や末端配列のアミノ酸組成によって発現量が大きく異なりますのでタンパク質に応じたコンストラクトの最適化を行ってください。

A7:(2)無細胞くんSIの場合

考えられる要因 推奨する対策
キット性能の低下 (1)製品ラベルに記載の使用期限内であることをご確認ください。
(2)適正な温度で保管されていたかご確認ください。
(3)使用期限内で適正に保管されていた場合は、弊社までお問い合わせください。
テンプレートDNAが不適切 (1)発現確認を無細胞くんStartで行ってください。
(2)テンプレートDNAの配列が適切かご確認ください。濃度が適切かをアガロースゲル電気泳動でご確認ください。市販のプラスミド精製キット等で調製したプラスミドDNAを用いる場合、プラスミドDNA精製標品に残留するヌクレアーゼの影響でタンパク質再現量が低下したり、まったく再現しないことがあります。この場合プラスミドDNAの再精製により改善することがあります。フェノール・クロロホルム抽出、エタノール沈殿による再精製処理を実施してください。
(3)無細胞くんStartで発現確認されたにも関わらず、無細胞くんSIで発現が確認されない場合は、弊社までお問い合わせください。
タンパク質の性質による問題 タンパク質によっては反応中に容易に分解や沈殿してしまう傾向のものがあります。4時間程度の短時間反応で回収し、発現量を再度ご確認ください。配列への変異導入やコンストラクトの再設計で改善される場合があります。

Ref. )
Yabuki et al., J Struct Funct Genomics, 8(4), 173-191, 2007


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イノベーションユニット
SI事業部

045-872-1823
※月~金曜日
9:00~17:40

045-872-1825
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アクセス

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